そのじつ

HOUSE ハウスのそのじつのレビュー・感想・評価

HOUSE ハウス(1977年製作の映画)
3.8
小学生のころテレビでチラ見して以来、ある種のトラウマ映像として根付いていた作品。今回初めて全部みました。(アマプラ見放題終了間近で)
こうして振り返ると、大林宣彦から刷り込みを受けた世代なんだとあらためて思う。

観賞なかばで「はっ!これって『サスペリア』と似てる・・・」と思い当たって調べ、ダリオ・アルジェントの『サスペリア』と大林宣彦の『HOUSE』はともに1977年公開の作品であったことを知る。
アルジェントと大林は同好の志であったのですね。

池上季実子のセーラー服にまずウオっ!となる。エロいやないかい。コスプレにしか見えないが、まだ18歳だったそうだ・・・。実父といちゃいちゃするシーンも愛人とパトロンに見えてしまう。結末を見てから考えると魔性オーラムンムンの彼女で正解なのでしょうが。むかしの18歳って大人っぽいよね。山口百恵とか。

対して大場久美子は夢見る少女を地で行く13歳。めちゃ可愛い。大林監督にいじめ抜かれたのかと思うと気の毒になるくらい幼い。

特徴のある演出法でコミカルに感じられ、途中までヘラヘラしながら見ていたが、だんだんと怪異が本性を表すにしたがって残虐さが増してゆく。
クロマキー的な画面合成で怖くはないのだが、イメージのエロティックさとその偏執的なネチッこさに恐怖する。
やっぱピアノが噛みつくスプラッタシーンは強烈だった。

面白かったしそれなりに楽しんだが、ちょっとピンクな雰囲気の映画なので(喘ぎ声や吐息のような女性の声が終始流れているし)普通に楽しんだとは言い難いかな。
アルジェントくらいショッキングだとエロが中和される作用がある(?)けど、この作品は作り物感を過剰に演出しているのでエロの舞台効果的な・・・秘宝館?的な感触が強かった。まさに大林ぱらだいす(探偵ナイトスクープの桂小枝節で)な一本でした。

音楽は豪華!小林亜星にゴダイゴ!よかったです。サントラDLしちゃいました。
あと鰐淵晴子が最高にツボりました。いつも風に吹かれて明後日の方向むいて微笑している!ラストの彼女の登場シーンだけ何回もリピートしちゃう。

最後、自分の思い込み話します。
アルジェントで自分が好きな作品では、少女が変質者に勝つのですね。
しかし大林の作品では少女は妄執の虜になってしまう。食い物にされてしまうんです。そこがどうも生理的に合わないのだなと、今回はっきり思いました。
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