テキサスからロスへ、ロスからテキサスへ。一往復の空間的移動に付き合うことで、彼等一家の長く辛い人生、時間を一緒になって辿ることができる。そんなロードムービー。
同じテキサスでも、始まりは荒涼とした砂漠、ラストは大都会のシティホテル。そのコントラストによって、トラヴィスが言葉と記憶を取り戻す過程が改めて強く印象づけられる。結局彼は失ったものを元通りに全て取り戻すことはできなかった。でも、少なくとも乗り越えなければいけないハードルをクリアすることはできたはず。
父子が道路を挟んで両側の歩道を平行して歩くシーンの素晴らしさには、思わず身を乗り出して見入ってしまう。
そして、クライマックスのあの電話の部屋。映画史上に残る切ない再会シーンを飾る、唯一無二のシチュエーション。