緑雨

PLAN 75の緑雨のレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
3.8
切った爪を植木鉢に捨てる、片付けたロッカーに手を合わせる、オペレーターを「先生」と呼ぶ、出前の寿司桶を丁寧に洗う。倍賞千恵子の所作の一つ一つが丁寧に印象深く演出されている。

或いは、磯村勇斗の叔父たかお鷹の献血手帳、卵の保存場所、定食屋でのコップ酒なども。

PLAN75事業者の在りようには資本主義社会の嫌なところがうまく描かれている。プロモーション会場で炊き出しやってるのなんて、いやらしいことこの上ない。一見運営がしっかりしていそうで、セキュリティが甘々で遺品パクるジジイがいたりするあたりもいわゆる「業者」の杜撰さをあえて描き出しているのだろう。

ディテールの造形による近未来の世界構築は秀逸で、如何にもありそうな世界が展開される。ただし、空気読み他律的な日本人が、世界に先駆けてこんな制度を採り入れるとは実際には考えにくいけど。

物体で画面内にフレームを作ったり、自販機や誘導員ジャケットの赤色ライトを印象的に使ったり、画面づくりには意欲的。

冒頭のライフル殺人と外国人労働者の件りは、焦点ボケさせるだけで効果を生んでなかったように思う。
緑雨

緑雨