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夜汽車のotomisanのレビュー・感想・評価

夜汽車(1987年製作の映画)
4.6
 百鬼の家を引き取る姉妹のやり取りの、終わり果てない呟きに籠る二十有余の恩讐やら愛憎やらも顧みれば、男の蒔く種の悪さの末かと思えても、男の心の実不実もまた稼業の目の裏表の末の事にて、まことに厄介なり。厄介なれども姉妹への哭涙の心底なるは健一とても同じ事。仇、討ちとればもはや手の届かぬ幸代を冥土で待つの心にて討たれ果てたる潔さ。男の操と汲み取って、幸代の幸のあらん事、天の佑けを願うのみ。
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