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暴動島根刑務所のotomisanのレビュー・感想・評価

暴動島根刑務所(1975年製作の映画)
4.0
 国民主権を知らんのか、新憲法を知らんのかボケがぁ、っと言うのは松方らしくないので俺が言ってしまう。
 身ィもこころも空っぽなムショ暮らしだから何から何までお上頼み、ブタ飼うくらいでなんの文句があるんか?それで何が気に入らんとかっメシをやらんと?この陛下の赤子で敵さんを殺して褒められて、娑婆のダニを潰して九年を食らったワシに飯をやらんとか?ついでに、吉成のガキを冥土に送ったったらおまけで三年とはどんな割引じゃ?殺したワシも人権侵害なら勝手に割引くオノレらーも同罪じゃろがぁ、あーあ新生日本は不条理じゃ。そこに行くと大阪の署長ハンは筋目の通った立派な方じゃよ、捕まえる前にちゃーんと人命救助で表彰してくんなさった。アレで金一封あったらなおよかったがのぉ。

 ほんのちょっと前、この国民主権がない憲法下の諸法で大幅な国民の権利が容認された事が国民一般の気をよくさせたんだろ、それでか、社会と国の大事、戦争をするかしないかの議決権は等閑視?世界戦争の瀬戸際で統帥権が天皇に預けられ、輔弼する強行軍に議会は意見も出せやせん。政治もやがて軍に乗っ取られて国民はみな使い放題のコマ扱い、それ未満の囚人だから権利のケの字もないワケっつーなら、オキュパイド・ジャパンでもホントかどうか試したろうじゃないの?
 ここで大事なのは、欣也が雪隠詰め所長との談判で囚人三権議定書の所長印を分捕った事かもしれない。一揆の頭たる松方はケツを拭きゃあ朱肉で真っ赤、痔と区別がつかないと云うだろうが、叛徒どもにお上がこっそり屈したこの始末、どうしてくれんだ?

 その答えが事件の頭としっぽ、松方・欣也の網走送りで死人に口なしのチョンなんだが、網走壊滅は健さんもやんなかった事で憚り多すぎかいね?鉄橋でやっとこ二身に別れゆくのがやけに爽やかで面食らったが、次回作がなんとあれでは二人死んでも死にきれまい、だから生きてるたぁなるほどだ。
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