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ミラクル・ニール!のotomisanのレビュー・感想・評価

ミラクル・ニール!(2015年製作の映画)
4.0
 全能は大変だ。と言っても悪さをするには最高、どいつもこいつも悪くなるだけなので。ところが、みんなにいいように計らおうとすると政府のばらまき行政のように変な具合に結実する。南極のアパートは監獄によさそうだし、砂漠のタワマンは難民キャンプのつもりだろうか?食料自給率300%のツケはどこに回って全能が紙幣増刷(!)で払ってくれるのだろうか。

 戦争の火種が無くなれば、今度は戦争のための戦争が始まるそうな。こんな人間のために全能であろうとした神様が死にたくなるのは痛く共感する。そのとき「わしゃ死ぬわ」で右手を振れば完璧な全能死となるわけで、ニールが川に飛び込むのは全能が板についてない証拠だろう。
 かくの如し、物書きのくせに想像力がないという。もっともウンコスキップ・ダイビングが初全能ではグノーシス的造物主未満の全能観でも仕方ない。しかし、賢明にもデニスを知性化し「全能」を丸投げして、かの全能の出どころも頓着無いまま彼女とよりを戻し今晩早速なにをする?造物主の申し子として申し分あるまい。

 しかし、この作品の最大の問題点は、デニスが良かれと思ってナニを返上した時の、あの「全能の者」への最後通牒、その終着点がどこになるかである。
 デス・ブリンガーズから全能発効者のルートをたどってどこまでいったやら、かの銀河なんちゃらの創造元、パイソンズを突き止められたら、もののついででテメエ等みんなタタッ斬ってやると大ロンドン市民全滅とかイングランド消滅とか、AI同様全能の使い方も具体的かつ言葉は慎重に。それ以上は、想像したくないが流石のニール、面目躍如の地球浄化だろうが、まさか巡り巡っての二人と二匹、一蓮托生だ。
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