てっちゃん

第三の男のてっちゃんのレビュー・感想・評価

第三の男(1949年製作の映画)
4.6
漫画版バトルロワイヤルは、全中学高校児が通う道であり、そのあとの明暗を分ける作品だと思っており、私は漏れなく"第三の男 三村信史"を好きになってしまった典型的な児童だったので、本作のタイトルがとても印象に残っていたわけです。

そんなことはどうでも良くて、現代の作品に多大なる影響を与えた名作を鑑賞開始です。

観た感想は、めちゃくちゃ面白い!
めちゃくちゃ面白いけど、なんで名作とされているのかがよく分からない感じ。
単純に物語として、単純明快であり面白いし、カメラワークがものすごく凝っているし、とにかく光と影の使い方がとても印象的であり、登場人物たちもすごく魅力的。
しかし、どこか説明不足感というか、全体的に漂う違和感があったのを感じた。

あれこれ書く前に好きなシーンを。
とにかく光と影の使い方がとてもかっこいいし、それは登場人物描写において、かなり有効に働いているのは言うでもないことでしょう。

光の存在であるホリーと影の存在であるハリーの対比を描いているのは言うまでもないが、有り得ない形の影だったり、モノクロだからこそ美しくなる光と影を堪能できることでしょう。

あとは誰もが惚れるオーソンウェルズさんという人のかっこよさ。
失礼だけど、モデル体型でもないし、お顔立ちも決して凛々しいわけではないのに、そんな所謂見た目なんて関係なくて、所作や言葉や表情がかっこよすぎるというすんごい存在。

特に最後のホリーとハリーのシーンでの表情。
この表情はすごすぎるぞ、、言葉なんてなくても表情というか”目”だけで分からせる感じ。
かっこよすぎるでしょ。

ほんで屈指の名シーンであるラスト。
このラスト本当に最高。
誰もがこのラスト真似したくなるわけだわってくらいに本当に良い。
ただでさえ完全な作品が、完全に閉じ籠ったかのようなラスト。
冗談なしで、ため息が出たほど。

さて、本作は不思議なことに面白いんだけど、普通に観ると死んだ親友の彼女に惚れた男と、死んだ親友の彼女は異常なまでに親友のことを愛している、でも実は、、、みたいな話なんだけど、それだけ?って思うかもしれない。

私はその物語よりかも、画作りの巧みさ、台詞の選び方、役者さんたちのかっこよさに惹かれていったから、物語の方にはあまり注目していなかったというところもあるけど、確実に感じた違和感。

その違和感の正体を知りたいと思い、困ったときの町山智弘さんってことで解説動画を見てみたら、はえー、なるほどーっと驚くことばかり。
感じた違和感もすっかり解消されて、本作が超名作と言われる、というか”言わざるを得ない”ことが分かってくることでしょう。
なので、解説動画を見ることをおすすめします。

そんな解説動画を見て感じたのは、本作は、思想的な映画であり、成長の映画でもあり、当時の経済面や政治的な面が描かれている映画であるということ。
ここに注目して観ると、本作の”完全性”に気づき、超名作と言われることに納得することができるかもしれません。
てっちゃん

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