kissenger800

息もできないのkissenger800のレビュー・感想・評価

息もできない(2008年製作の映画)
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個人的に大切な作品なので迂闊に書けないと思っていたのを迂闊に書いちゃう。そんな日もある。
(3年前、リモートワークだった部下とのコミュニケーションのために書いていた社内ブログからの転載)

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借金の取り立てをなりわいにしている、というだけでは説明がつかないレベルに暴力的な主人公がシバラマ、シバラマ言うのでとにかく耳に残るのですが(このクソが。ぐらいな罵倒だそうです)、コミュニケーションを希求する表現を暴力以外に持たない主人公の不器用さ。
とはいえ目を覆いたくなるバイオレンス。
どうせロクな終わり方しないよなあと思わせておいて小綺麗にまとめるでもなくきっちり物語を着地させる手腕。
これはね、2時間半を忘れさせる傑作。

何度でも言いますけど「いまさら見ても/読んでも」って自分で自分に勝手に課すリミッターは外すべきですね。
今年見た・見るであろう映画トップ3に入るのはもちろん、この10年のレンジに広げてもトップ10に入ってくるやつでした。
はー堪能した。

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なんで見たのかすっかり忘れていたのですが、久しぶりの韓国出張が控えていたタイミング、と上記引用外のところに書いてあって(どこから見てもFUJIWARAのふじもん、とも書いている)たかだか3年前なのに隔世の感が。

あと、途中に出てくる“「いまさら見ても/読んでも」って自分で自分に勝手に課すリミッター”ってフレーズは、読者である部下に直接向けたことばで。
ハズレ作品を引いてしまうと時間の浪費による厭世観が強くなるから、最初からB級C級D級作品しか見ない。って言ってた若者で、それはそれで、若いなー。って笑顔になる類ですし、俺も少なからずソウイウトコロあるけど、ときどきそれ、捨ててみると面白いものに出会える可能性が増えるよ。
みたいな上司カゼを吹かしている日でした。
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