狭須があこ

気狂いピエロの狭須があこのレビュー・感想・評価

気狂いピエロ(1965年製作の映画)
3.7
ヅラじゃない。桂だ。

こんなにつまんなくて面白い映画はなかなかないな。
ワケわかんないしつまんないのでずっと見てるのしんどいんだけど、あーなるほどねって思うし見終わったらははぁ~って思った
でももう一回見るのはもうめんどくさいです。

オシャレ映画もフランス映画も、オシャレなフランス映画もキライなんですよね。でもこのオシャレなフランス映画には、どこか真面目に喜劇をやってるようなところがあって、私のなかの、コーエン兄弟ファン的な部分をくすぐってきます。

不倫した相手とのワクワク逃亡生活。
二人の世界。自分を愛している愛する人と二人!!
世間の目も、お金ももうなんにも関係ない!
二人でナレーションを喋る映画ってあんまりないですよね。

しかし、二人の世界見て見て!!私たちを見て見て!!と時々こちらをじっと見つめるその顔を眺め返しつつ、イヤでもぼくら他人ですからね。
お互いしか見えてないから、他人のことは、二人の世界を盛り上げる道具くらいに思ってるんだろうけど、ぼくたち他人はそのフィルターなしにキャッキャウフフなきみたちを見てるんですよ…

つまりきみたちの恋愛って、ミュージカルなんですよ。
一生ついて回る、存在しない曲。
周りに聞こえてない、自己満足の曲。

ミュージカルは「見て見て!」で観客はちゃんと見てくれるものだけど、もし仮にその曲が周りに聞こえず、観客がついて来なかったら?
この映画みたいになるんだろうなぁ、と私は思いました。

「キチガイ!」って言われて「クソッタレ!」って返したら、「それやめて」「汚い言葉使わないで」って袋叩きにされるベルモンドの顔最高だったし、最後のシーンも爆笑した。
人生は本人にとっては歌劇であり、悲劇だが、周りにとったらよくて喜劇の他人事。

うーんなかなかつまんない。
そして面白い映画でした。
狭須があこ

狭須があこ