Kou

21グラムのKouのレビュー・感想・評価

21グラム(2003年製作の映画)
2.9
『人間の魂の重さは、21グラムである』



このフレーズ一度は聞いたことあると思うけど、
これはダンカン・マクドゥーガの
人間が死ぬ際の体重変化を記録することで、
“魂”の重量を計測しようと試みた実験が由来。



彼は6人の患者と15匹の犬を使い、
死ぬ時の体重の変化を記録しようと試みた。
その結果、人間は、
呼気に含まれる水分や汗の蒸発とは
異なる『何らかの重量』を失うが、
犬ではそういった重量の損失が
起こらなかったそう。
なんか、色々凄い実験だよな…。




というわけでこの作品は
『人がいつか失う重さとは、一体何の重さなのか』
を問う作品なんですよ。



「心臓ドナーを待つ余命1ヶ月の大学教授」
「夫と二人の娘と幸せに暮らしていた女性」
「神への信仰が生きがいの前科者」
この関わることのなかった3人が、
1つの事故により交差していくヒューマンドラマ。



主演は
・ショーン・ペン
・ナオミ・ワッツ
そしてSW最新作出演おめでとう!
・ベニチオ・デル・トロの熟練演技派の3人。



とにかく演技が圧巻。
全く違う人生を歩んできた3人を
“表情”から“目の生き死に”まで
細部にわたり表現している。

死にそうな人。
幸せ一杯な人。
地獄のような目にあう人。
“現実にあり得ること”が実際、
みんなに起きてるんだよね。
だから、見ていて心にくる。

「自分がこの立場に置かれたら…
きっとこういう感情になるだろうなあ」
それがそのまま、演技として表れている。



じゃあ凄い面白いかって?
そうでもないんですよ、それが。



演技と脚本は素晴らしいと思う。
なにせ、
『人間の魂の重さは、21グラムである』
という興味深いテーマから

「じゃあいつ失うのか」
「一体、何が失われるのか」
そういった疑問を、
ある人間の“たった1つの心臓”
から描いているからね。



問題は手法。いわゆる『時系列シャッフル』を使っているんですけど、(分かりやすい作品は
『メメント』とか『(500)日のサマー』)
うーん、このテーマで使う必要あるかな?



“命の重さ”とか“魂”といった
ただでさえ概念的で難しいテーマなのに、
時系列・人物をシャッフルすることによって、
とにかく分かりにくいし、感情移入もしにくい。

しかも使い方がめっちゃ下手で。
一瞬でも目を離したら最後、
「いつの話!?ねえこれいつ話!?」って。




最後までちゃんと見ても、
「命って、人生って、こういうことだよな」
そういう感情よりもまず最初に
「疲れた…」がくる、そういう作品でした。

とりあえず、これ観るくらいなら
『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』をぜひ。
パッケージから脚本・主演・演技まで。
『最高にクールで最高に渋い』作品ですよ。
レビューも心なしか上手く書けましたし( ´_ゝ`)

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SW最新作のレビューで、多くの女性陣が
「デルトロ様!デルトロ様!」
と騒いでて、正直意味わかんなくて怖かったんですけど、この作品を観て、女性陣が惚れるのもよく分かりました。

渋くて色気があって、ちょっとアウトローな感じ。
かっこいいですね。
Kou

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