シュローダー

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマーのシュローダーのレビュー・感想・評価

5.0
断言する、後の時代の「ループ物」と呼ばれるジャンルは、全てがこの作品の上に成り立っている。涼宮ハルヒの憂鬱の「エンドレスエイト」然り、「魔法少女まどか☆マギカ」然り、「カゲロウデイズ」然り、「青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない」然り…。しかもこれらの作品群は「ループ現象の原因が当事者の妄念によるものである」という点まで共通している。というより、ループ現象に科学的な理由がついている方が珍しい。それもこの作品の功罪の部分であろう。日本エンタメ史を語る上でこの作品の名前を出さなければ嘘になる。それ程までにエポックメーキングであり、死ぬ程面白い作品だ。まず冒頭から驚かされるのは、コミカルによく動く作画と、キャラクターのアンサンブルの妙だろう。高橋留美子の才能と、押井守の才能が見事な化学反応を起こしている。そこから始まる「文化祭が永遠に来ない」という怪異は、随所に挟み込まれるホラー的演出と、ドラッギーな作画によって、異様なまでの恐怖が表現されている。特に終盤の「インセプション」もかぐやの夢の中で夢を見続ける場面は非常に訳がわからない。ここまでの領域に到達しているのは、それこそ今敏の一連の作品群くらいではないだろうか。いつの世においても古びない魅力である。総じて、押井守がこの作品の後に反復し続けるループというモチーフの原点にして頂点である事は間違いない。アニメ映画として、映画として、履修すべき古典である。未見の方は是非。