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ローズマリーの赤ちゃんのKuutaのレビュー・感想・評価

ローズマリーの赤ちゃん(1968年製作の映画)
3.9
名作ホラー。

「このアパートは役者が多い」という冒頭のセリフで全体の展開はだいたい察しがついてしまうが、それにしても後味の悪いこと…。ヘレディタリーと似た話ではあるが、あちらの祝祭感と違い、今作はひたすら泥沼に沈んでいく中でのローズマリー(ミア・ファロー)のあの表情。怖さと気持ち悪さが鑑賞後にじわじわと増してきた。

何をやってもこの悪夢からは逃れられない。終盤ローズマリーはナイフを持ち出して立ち向かうが、「どうせこれも役に立たないんだろうな」と諦めの気持ちで見てしまった。赤ちゃんの姿を見せないので、本当に全てローズマリーの妄想なのかもしれないが…。

妊婦の持つ不安、誰も信用できなくなっていく様子が細かく細かく描かれ、観客もノイローゼに巻き込まれていく。当時問題となっていたサリドマイドの薬害が背景にあるらしい。1968年公開という事で、LSD的なサイケ感も随所に。演技と出世に取り憑かれた夫役にジョン・カサヴェテス、というのも憎い配役。78点。
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