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クィーンのmendeのレビュー・感想・評価

クィーン(2006年製作の映画)
3.9
ダイアナ元妃の事故死に対するエリザベス女王の反応が主題。『クィーン』というタイトルながら、影の主役は資料映像でしか出てこないダイアナかも。

フィクションではあっても、王室のダイアナに対する冷たい態度は、先ごろ亡くなって問題発言で有名なフィリップ殿下やエリザベス女王の母にあたるエリザベス王太后のセリフから垣間見える。
女王の発言は慎重に避けられているが、ダイアナの死に何のコメントも出さなかった態度に何かにじみ出ている。

ただ、フィリップ殿下の「(ダイアナは)もう一人(カミラ)がいることについて静かにするべきだ。それが普通だろう」というような発言を聞いているときの女王の表情は複雑だった。王室の常識と世間の常識とはずれている。それを女王はわかっている…というのが、演じるヘレン・ミレンの顔から察することができる。あるいは夫の愛人を黙認することが当然とする考え方に、女性としてひっかかるものがあったのかもしれない。

映画を見て思ったのは、王室は国民大衆の人気を、国民が考えている以上に気にしているのではないかということ。税金で暮らしている彼らは、国民の支持なしに存在し得ない。たぶん日本の皇室も同じだろう。
威厳と品位を保ちながら、大衆の人気を保つのは簡単じゃないはず。冒頭の「王冠をのせている頭は寝むときも不安である」という『ヘンリー4世』からの引用がしっくりくる。女王の「苦労」がしのばれる映画だった。
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