こぅ

セリ・ノワールのこぅのレビュー・感想・評価

セリ・ノワール(1979年製作の映画)
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「戻ってきたのよ
これからはすべてがうまくいくわ」

ジム・トンプソン【死ぬほどいい女】原作、アラン・コルノー脚本/監督による、
L・ベッソンが惚れた異色の【フレンチ・ノワール】。

【カンヌ映画祭パルムドールノミネート作品】。


パリ郊外の街で訪問販売員をしているフランク(パトリック・ドヴェール)。
うだつのあがらない日々に飽き飽きしている。
ある日、訪問先の老女が16歳の姪、モナ(マリー・トランティ🐈)に売春させて品物を買おうとする。
服を脱ぎ始めたモナを優しく止めるフランク。
モナはフランクに愛情を感じるようになる。
数日後、フランクはモナに叔母の金を奪って2人で逃げて欲しいと持ちかけられる。
少女を愛してしまったフランクはやがて犯罪に手を染めていくのだが…。


★脚本
冒頭、
アヴァンタイトル〜クレジットバックでの主人公、フランクの一人芝居/妙な動き。
コートの懐から出すのは銃じゃなく、ラヂオ。
この時点で 変人 確定〜。
本作の一貫した 滑稽さ が初っ端で提示される。

彼の日用品セールスの仕事、お客である老女宅への訪問、そこで売春を強要させられている姪の美少女、モナとの出会い。
後々絡む、顧客のティキデス(アンドレアス・カツーラス)と仕事のボス、フランクの妻ジャンヌ(ミリアム・ボバイエ)、主要キャラの紹介/把握と、この先の展開/プロットも序盤でおおよそ見通せるテンポ良い脚本。
ただ、
フランクの特異/滑稽なキャラからノワール感は顔を出さない。
脚本を凌駕したキャラとでも言おうか、
兎に角、掴みどころ無く、終始強烈なインパクトを放っている。
短気。陽気で陰気。
替え歌唄ったり、独り言。朝の体操すら妙。

愛する妻、ジャンヌと美少女、モナ、
どっちか選べない 優柔不断さ がまた厄介。
ジャンヌと喧嘩して出ていかれ、モナと 逃避行の準備 に取り掛かるも、妻がひょっこり戻って来て、、ってまた混乱する一筋縄じゃいかない展開が滑稽で面白い。

完全犯罪計画に
顧客のティキデスを悪用する/引き込む前のやり取りが若干長い印象⤵︎

それまで滑稽だったドラマが、
ある人物を派手に 銃殺 するシークエンスで 一気にノワール感 が顔を出す!!

警察も騙せて計画は上手くいった筈が、、
ここから派生した思わぬ第二殺人、フランクを疑うある人物の訪問がクライマックス。

全キャラ無駄なく活かしている脚本。

ラストも
crazyで滑稽なnoirにマッチしていて秀逸だ!!


★総評
兎に角、
唯一無二な異色のnoirで、異色のラヴ・ストーリーだ。

L・ベッソン監督は、
オジサンと美少女という組み合わせと孤独な2人の ラヴと破滅 を【レオン】に継承/投影したのだろう。

掴みどころの無い、
クセ強すぎフランクを体現した 故パトリック(イケメンハゲ)の妙演/怪演は凄い!
https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcRCj1SgNXDAE8d7wKTH5MzE644jueHfuKMpcw&usqp=CAU

ボンネットに頭を何回も打ちつけるシークエンスとかアタマ大丈夫⁈⁈
友人としても知人としても 関わりたくない 人物だ。

また、
序盤でいきなり全裸を見せた
風変わりなヒロイン、モナを演じた、ジャン=ルイ・トランティ🐈の娘、故マリーは、現代で例えるならクロエ・グレース・モレッツの如き妖精。
https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcQXM9bcENSKN0PMQADuuKLytF7ERNyyPC9xpw&usqp=CAU


パトリックとマリー共に夭折している。


ビンタレベル★★★〜★
こぅ

こぅ