ふき

ヒューゴの不思議な発明のふきのレビュー・感想・評価

ヒューゴの不思議な発明(2011年製作の映画)
5.0
この映画を見るに当たり、主題として意識していて欲しい点は、以下の三点だ。
・ヒューゴは本映画では発明をしない。
・“パパ・ジョルジュ”の半ドキュメンタリーであり、ほぼすべて事実。
・舞台は一九三〇年代のフランス。

察しのいい方は、ここでなにが主題か分かるだろう。そしてそういう方は、この映画に不満を抱くことはないはずだ。
もしこの映画でピンと来なかった方は、作品や登場人物についての情報を、少しだけ調べて欲しい。そこには一〇〇年以上続いてきたある芸術の無限があり、それを知った後でもう一度この映画を見れば、きっと感想が変わると思う。

…………

パラパラ漫画で始まる物語が、最先端のCG映像や3D表現のグラフィカルな面白さで展開し、それが最も原初的な驚きの映像世界に結びついていく様は、まさに過去と現在の完璧な融合体験だった。これこそが、こけおどしでない、本来の“技術”の使い方といえるだろう。

その数々の古典的名作が大画面に広がる図書館から、当時の撮影現場の再現に至る一連のシークエンスにヒューゴたちを導くのは、最も多くの映画に出演したギネス記録を持つ、クリストファー・リー氏の扮する人物だ。これ以上に相応しい配役が、存在するだろうか。氏がご存命の間にこの作品が完成したことは、本当に幸運だった。

ところで監督のマーティン・スコセッシ氏も、ノンクレジットながら出演している。探すと面白いかもしれない。
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