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丹下左膳 百万両の壺のBaadのレビュー・感想・評価

丹下左膳 百万両の壺(2004年製作の映画)
3.9
山中貞雄の『丹下左膳余話 百萬両の壺』のほぼ忠実なリメイク。この映画の公開前に開催された京都映画祭での『丹下左膳余話 百萬両の壺』の上映時に併映された欠落部分の立ち回りはこの映画の撮影後に発見されたものだが、この作品での立ち回り場面で再現された動きとほぼ同じだったので驚いた。元の作品への愛が隅々から感じられる楽しい作品に仕上がっている。

とくに野村・麻生の若夫婦の掛け合いは元のものと勝るとも劣らない楽しさで感心してしまった。

豊川悦司の粋な立ち居振る舞いもそこそこはまっているが、少し残念だったのが和久井映見さんのセリフまわしと演技と着物の着こなしの堅さ、CGプリント風の着物の染のペラペラとした感触の色彩だ。時代や予算の制約もあってのことなので、技術的な部分は仕方がないと思えるが、和久井さんの役は元作品の喜代三さんのようなこなれた大人の雰囲気のする若い女性に演じてほしかった。

衣装と主演女優のキャスティングで少しばかり粋さがそがれてしまったのが残念だが、ささやかだけれど見て楽しいリメイクのお手本の様なスタッフの心意気を感じる作品でした。

(映画愛に満ちた忠実なリメイク 2013/3/4記)
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