めかぽしや

美しき諍い女(いさかいめ)のめかぽしやのレビュー・感想・評価

3.8
創作に悩む老画家の元に新進気鋭の画家とその彼女が尋ねる。
その彼女、マリアンヌを見て老画家は長年諦めていた“美しき諍い女”の創作に意欲が沸く。

公開当時、エマニュエル・ベアールのヘアヌード論争が起こった問題作。
全編4時間にも及ぶ作品でひたすら老画家が裸体のマリアンヌの絵を描き続ける。

“美しき諍い女”とは17世紀にいた娼婦の商買名。
砕けて言うと喧嘩っぱやい女??と言う意味。

老画家は次々に難しいポーズを要求し、
最初は乗る気でなかったマリアンヌも老画家に挑み始める。

老画家はマリアンヌの何を描きたかったのか?
それは本人も無自覚な“内面”であった。
一つの作品を仕上げるにあたり、画家の技術だけではなく、モデルのさらけ出したありのままの姿を見せなければ、
血の通った“美しき諍い女”の絵は成立しない。

思うような絵が描けない画家と内面を見つめなおすマリアンヌ。
そこに老画家と妻とマリアンヌの彼のニコラの嫉妬も加わり、2組のカップルの複雑な心理状況も絡んでくる。

胸の形はイマイチだけど、くびれたウエストに大きな形のよいヒップと見事な裸体を見せてくれたベアール。
やはり、ぼかしは不自然だった。

初めのスケッチは机の上のスケッチブックにインクとつけペンと筆と水でカリカリと音を立てて描いていき、
段々と用紙は大きく木炭から油彩に移っていく肯定に絵心がくすぐられた。



公開当時、私は絵が分っているつもりの学生で
忘れもしないル・シネマで鑑賞しバッチリ寝てしまったという痛い思い出があったけど、
20年以上たって観返してみて改めて心動かされた。
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