Morohashi

バグジーのMorohashiのレビュー・感想・評価

バグジー(1991年製作の映画)
4.0
およそ何もない、砂漠のど真ん中に突如としてカジノができる巨大ホテルを作り、それを中心に町を作ろうとしたギャングの男、通称バグジーの生涯を描いた話。
その町はその後ラスベガスとして知られるようになる。

人の欲望の果てしなさを感じる本作。
金や愛のためならば、人殺しだって怖くないみたいなのを見て、ギャングの世界はやっぱり自分には全く縁のない、向かない世界だなと感じた。

ただ映画全体の演出の話をすると、もっと感情の浮き沈みをいろんな方法で描けばよかったのに、とは思う。
というのも、このホテル計画を動かす根源的な感情は怒りと見栄。
怒りを、もっといろんな方法で演出すればよかったのに、と思う。


◯バグジーとヴァージニア
何を考えているのかよくわからない不気味なギャング・バグジーを演じたのはウォーレン・ベイティ。
そんなバグジーを振り回す女優のヴァージニア・ヒルを演じたのはアネット・ベニング。
2人は数年後「めぐり逢い」で共演し、結局またアネットがウォーレンを振り回す構図というのが面白い。


本作で2人が初めてキスをするシーンがなんともオシャレ。
スクリーンの前で光と影だけでこうも演出できたのは見事。

男がいつの時代でも女に金の存在をチラつかせることで気を引こうとするのがよくわかるが、果たして女はそんなに金に飢えているのか?と思う。
たしかに、日本でも男性よりも女性のほうが有意に給料が低いというデータはあるものの、だからといって金のある男が「すごい!」ってなるのか?っていう。
ヴァージニアがバグジーに惚れたのは、経済力ではなくて、その強さ。
強さの象徴がお金と言われればそれまでだけど、ちょっと煮え切らない感はある。


ところで、お金をごまかしたギャングにはバグジーは鬼のような形相で迫るのに、ヴァージニアにはお咎めなしなのね、というのがなんとも皮肉。
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