すごく表面的なことを言えば、食人種の男女が恋に落ちる話。
でももっと深いことを言えば、何らかのマイノリティを抱えて悩める人をメタファーとして描いた話。
「自分はみんなとは何か違う」
「自分のこの変なクセのせいで、誰かを傷つけてしまうかもしれない」
と悩んでいたところに、自分と同じ特徴を持った人が、自分よりもいきいきと人生を生きている。
そんな人に出会ったときに、世界が一気に輝いて見えるような、そんな心の移ろいを描いている。
そして同時にこれは、愛する人の希望はどこまで聞けるのかを問う「愛の限界」を試す映画でもある。
もし好きな人が「殺してほしい」と懇願したら、果たして素直に殺すのか。それとも「生きてほしい」とその思いを捻じ曲げるのか。ある種の重いパラドックスの話。
おじいさんのサリー、どこかで見たことあると思ったら「ドント・ルック・アップ」のロケットCEO。絶妙に狡猾でいやらしい感じの演技がすごい。
結構描写はショッキング。ちょっと気持ち悪くなった。