Fitzcarraldo

どたんばのFitzcarraldoのレビュー・感想・評価

どたんば(1957年製作の映画)
2.0
1956年11月10日の20時00分 - 21時30分で菊島隆三の脚本によるスペシャルドラマとしてNHKで放送されたものを、翌年に橋本治が脚色して内田吐夢監督で映画化。

テレビドラマを映画化するのは、今に始まったことでなくて、この頃から行われてたのか…この頃は現在とは意味合いが違うけどね。1957年のテレビの普及率は7.8%だから、テレビよりも映画館の方が見られる機会が多かったのだろう…だから映画化したんだろうけど…



雨ってのはホントに人を陰鬱な気持ちにさせる。
オープニングから続くザーザー降りの雨は雰囲気を醸す。この雨はホンモノなのか?降らせたのか?この降り方はホンモノに見えるが、これを人工的に降らせたとあらば、物凄い雨技術!

しかし雨が原因なのか録音が悪過ぎて、台詞が聞き取りづらい。同録なのかアテレコなのか…



田園風景が広がる暗がりの畦道をチャリンコ2台で走るショットが気持ちいい。


朝鮮の衆をまとめ上げるリーダー的な存在である河村役を演じた山本麟一、愛称を山麟(ヤマリン)。明治大学時代にラガーマンとして鍛えたガタイが存在感を放つ。特に胸筋がスゴイ!高倉健の先輩であり共演作は多い。この映画の中でも一番の存在感を放つ。


朝鮮の衆…
民族的差別までされて、その上、怪我をしても労災もおりないのに、死体を掘り出すためだけに、タダでやってられないと、救援に反対。しかし河村の一言で従うのだが…とってつけた感じがして見栄え悪い。

さらに東野英治郎のあざとい芝居がくさい。芝居というよりも役回り的に仕方ないのかもしれないが、みんなをわざとらしく先導する姿が痛い。

生き埋め四日目にして…
みんな超協力的…急に方針転換する様は、プロレスのようでバカバカしい。プロレスを馬鹿にしてるわけではなく、それを映画で転用してるのがあほらしい…


いままで三日間のやり方では千日手だと、地元に戻ってきた横田が提言。

戦時中に造った秘密の道があると…それをダイナマイトで爆破して、そこに水を落とす。という新しい作戦に着手するのだが…

先ず、これだけ地元の人がいて、誰もその道の存在を知らないの?で、あなたは手伝ったから間違いないって言うけど、他に手伝った人はいなかったの?軍事機密?

そんで、簡単な見取り図で説明してたけど、一体その場所にどうやってダイナマイトを仕掛けるの?水で埋まってますよ…そこは!
現場に行ってみると、都合よく顔ひとつ分の隙間があるから、そのまま顔を出してダイナマイトを仕掛けに行く…んーこれでは道理が合わん。途中で雨も止んだわけだし、これ以上、雨の流入がないのなら、こちら側からモーターを使って排水すればよかったんじゃない?

なんか構造的にも納得いかんけど…どういう構造になってるのかを分かりやすく伝えるには、監督の演出手腕に依るところが大きい。


暑苦しい、わざとらしい、正義感。過剰演出が四日目にして急に始まる、
イヤんなっちゃうねぇ…しかし、撮影は大変そう。

急な手のひら返しに冷めちゃう。きちんとした流れで、なるべくしてなった展開ではなく、わざわざ突き放しといてからの、急な正義感!しらけちゃう。

5人の生存が確認されたという放送が流れたら、ヘリコプターから花を落としてくれと、頼む。これ何の意味があんの?

で、花びらが舞ってるのが、うっすらとわかるのだが…何がしたいん?そんで花束を1つずつ落とす。なんなのこれ?
しかもこれ、救急ヘリコプターではなく花束を落とすだけ落としてどっか行っちゃうし…
Fitzcarraldo

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