円柱野郎

レスラーの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

レスラー(2008年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

導入部からしばらくはランディの後ろ姿をカメラが追いかける形を取り、まるでドキュメンタリーかの様な印象。それによって主人公の地平にまで見ている方の目線が落ちて、リアルな空気感に自分がグッ引き込まれていったのが分かった。この辺が上手い。そこまで引き込まれたら、もうひたすらボロボロになって戦い、そして周りの人間に対して不器用な主人公に感情移入しまくりです。娘には絶縁され、いい仲になりそうだった馴染みのストリッパーには壁があり、現実では身どころか心をもボロボロにされる主人公は、最後の居場所を求めてリングに上がる。もうこれを男泣きせずに観られようか。 この主人公・ランディをミッキー・ロークは見事に演じてます。観ているだけでランディの心の痛々しさが伝わってくるというのは、ランディとロークがだぶって見えるくらいイメージの近さを感じるからだろうか。この映画に関しては、ランディ役はミッキー・ローク以外には考えられないものになってる。それは間違いない。 終盤、心臓の違和感を感じながらも最後まで戦うとするランディ。ラストカットは冒頭のラム・ジャムを反復させつつ暗転し、結末は観客の想像に。それはランディというレスラーの姿を、そしてその彼の生き様を、たった2時間で観る者の心の内に焼き付かせてしまった。
円柱野郎

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