第二次世界大戦下のナチスドイツにて,実際にあったアドルフ・ヒトラーの暗殺計画を描いた映画。
カリスマ的な独裁者を暗殺したからといって,体制そのものを残してしまったのであれば,その体制にはまることのできる後継者が現れて,結局は何も変わらないなんてことはよくあることだ。
独裁者を暗殺するだけならばそんなに難しいことではないが,独裁者を抹殺したあとに,その体制も殲滅し,新体制を構築をしなければ意味がないし,そのためには多くの協力者を必要とするわけである。
しかし,協力者が多くなると,情報が漏れやすかったりして・・・・
この映画は,ただヒトラーの暗殺を企てた将校だけでなく,それをめぐる人間も丁寧に描かれており,非常に見ごたえがあった。
泥沼化した第二次世界大戦を収束させるために,ドイツ人の手でナチスドイツを倒して新体制を樹立する,という流れの中ではヒトラー暗殺というのは一つのステップに過ぎない,という視座が徹底されていたために,すごく奥行きのあるストーリーであった。
(2009年4月3日)