shibamike

人間の條件 第3部望郷篇/第4部戦雲篇のshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

人間は今も昔もとにかく何が何でも「面子、体面」が大事で仕方がない。


第3部。関東軍に召集された梶。

軍隊の日常はというと、上等兵から初年兵への「可愛がり」の毎日。ビンタ、ビンタ、ビンタ。映画冒頭に初年兵20人くらいを一人の上等兵が左右両方の手を使って片っ端からビンタしまくるが、もはや芸術の域に達していると思った。
可愛がりや上等兵の理不尽な要求を観ていて、自分が思ったのは学生時代の野球部の上下関係であった(自分は帰宅部(笑))。軍人の悪習が程度こそ弱まっているものの現在まで脈々と続いているようで、目眩。自分は帰宅部で大丈夫っす。

田中邦衛演じる小原は便所で鉄砲自殺を試みるも、2回引き金を引くことに失敗。その時、「俺に生きろ、ということなのか…」とこぼしたので、自殺をやめるのかと思った直後に銃声一発。自分には自殺ではなく、暴発で死んだように見えた。関係ないが、自分が小原の立場で引き金引くのを2回失敗したら、「俺は自殺すらできない落ちこぼれなのか…」と落ち込むと思った。小原ポジティブだよ。

川辺に怪しいヤツがいる、と新城ともう一人の兵隊が民家に踏み込むが、民間人が川で魚を捕っていただけだった。しかし、間違いを認めたくない兵隊が怒鳴る。「こいつをショっぴけ!」新城が断る内に、民間人は逃亡を図り、兵隊に射殺されてしまう。民間人の奥さんは兵隊から暴行されそうになってもいたし、このシーンは観ていて本当に腹が立った。兵隊の面子のために人が一人死んだ。


第4部。梶、とうとう戦場へ。

新城が脱走した後、梶は入院。入院先の若い看護士と良い雰囲気になる梶。お、ゲス不倫いくんかい?新珠ちゃん泣くべ?と観ていたが、そこは流石の仲代達矢、いいお友だちでいましょう、と爽やかにお別れ。昨今のベッキー、宮崎謙介、乙武、ファンキー加藤、渡辺謙、斉藤由貴、今井絵理子、宮迫博之、上原多香子あたりとは訳が違うんである。(不倫した有名人多すぎて調べるの疲れた)

ソ連軍の戦車に備え、戦車壕を掘る梶達。軍人の父親を持つ若い寺田は反戦の梶に噛みつく。梶は寺田に一喝。「お前はあほうだ!」自分から観ても寺田があほうで梶の言うことがもっともだ、とは思う。しかし、「進め一億火の玉だ!」の当時、現在の常識とは事情が異なる。命を大切に思うヤツは臆病者で好戦的なヤツの方が頼もしく英雄扱いである。つくづく戦時中は救いが無いなと思った。

ソ連軍の襲来を今か今か、と待つ間、兵隊さんがこぼした「まるで死刑囚の気分だ。」の弱音が印象的だった。自分も恐怖でそんな気持ちになると思う。あの兵隊さんも学生時代、帰宅部であろうか。恐怖で震える人、発狂する人、極限状態の恐ろしさ。掘った戦車壕など敵の戦車にとってまったく障害になっておらず、ソ連軍の攻撃に成す術なくやられる関東軍。

最後の最後に梶ははずみで味方を殺めてしまう。近くにいた兵隊の「殺さなくたっていいじゃないか!」に自分は腹が立った。あのまま騒がれたらソ連軍にばれて殺されてるかも知れないじゃん!

続きが気になる。
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