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エクステの消費者のネタバレレビュー・内容・結末

エクステ(2007年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

・あらすじ
ある日、港に運び込まれた異臭を放つ大量のコンテナ
その中身はエクステの材料として使われる人毛だった
そしておびただしい量の毛髪の中から1人の女性の遺体が発見される
遺体からは腎臓と眼球が摘出されており、警察の見立てでは人身売買の被害者と考えられた
亡骸は至る所から毛髪が生えており、それは眼球が取り去られた跡や切り開いた縫合跡や傷などにも及ぶ
その晩、安置所で働く髪フェチの男、山崎ぐんじは遺体を盗み出し自宅へと運んでしまう
死して尚、伸び続ける髪に山崎は狂喜乱舞していた
山崎はその髪を切り取ってエクステへと加工し、1人の美容師に提供
その後の事件報道で女性の髪が持つ魔力を山崎は知る…
一方その頃、海辺の美容室「ジル・ド・レエ」でスタイリストの卵として働く女性、水島優子と彼女の友人で同居人のプロダンサーの卵、森田由紀の住む家には1人の少女の姿があった
少女の名は水島マミ、優子を虐待していた過去を持つ姉、清美の娘である
突然、娘を押し付けられ困惑していた優子だったがマミの体にも虐待の跡が見られた事から引き取る事を決意
3人の同居生活が始まった
やがて3人は打ち解けていくがマミが家を離れて街で迷っていた所を山崎が目をつけ、美容室へと連れて行った事で優子もまた山崎の髪への固執の標的となってしまう
その夜、美容室に再び現れた山崎
目的は遺体の髪で作られたエクステの持ち込みだった
そうしてエクステは街に更なる悲劇をもたらしていき…
というサスペンスホラー作品

・感想
園子温の監督作品なので正直あまり評価はしたくないけど割と面白い作品だった
髪のもたらす呪いの描写がとにかくトンチキに振り切っていてB級ホラー的な魅力が強い
特に光っていたのは誰もがそう思うだろうけど、山崎ぐんじ演じる大杉漣の怪演っぷりと目や舌からも髪が伸びたり、「ジル・ド・レエ」の最初の犠牲者、近藤の髪がサイヤ人の様になったかと思ったら全て抜け落ちてスキンヘッドになったりという笑うしかない画が観ていて楽しい

ただ人身売買の被害に遭った女性が呪いの源泉となった理由はちょっと弱過ぎやしないか?と
内臓と眼球を奪われた事よりも髪を全て刈り取られた事に強く無念を覚えるの…?という疑問は拭えない
「髪は女の命」的な古臭い感覚を園子温が持っているせいだとしたらモヤる…
モヤる事で言うと園子温作品の常連キャスト達に男女それぞれ色々と疑念を抱いてしまう点もそう
後は山崎に好き勝手に利用されるのを拒まなかった死んだ女性が最後には優子とマミを助けてあっさりハッピーエンドっていうのも何だかなぁ…
山崎の頭と足を体から切り離して小人化させる描写は面白かったけどね…

あとマミの母から虐待を受け続けてきた境遇が中途半端なハートウォーミングさを演出するのにしか役立てられてなかったのもちょっと引っかかる
清美を使ってクズを殺す描写がしたかっただけでは…という受け止め方しか出来ないし…

最も印象的だったのは山崎による「マイヘアー」という歌と絶妙に古臭いギャグ漫画っぽい喋り
逆に冒頭の優子達の小劇団の小芝居みたいな台詞回しはマジで要らなかった様な気がする…w
まぁそういう変な描写で個性を演出してるつもりなんだろうけどそれが特に何の魅力にも繋がってないのがなぁ…
蛭子さんのカメオ出演もガロ的な世界観を狙ってますよ〜、って感じの薄っぺらいアピールに感じた
そんな感じで粗は目立ちつつもまぁ総合的には面白かった
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