No.963[この世界じゃ皆イカれてんだぜ] 70点
アキンの鑑賞三作目。いつも酒呑んでるか、血まみれか、酒呑んで血まみれなトルコ系ドイツ人ジャイトが偽装結婚に巻き込まれる話で、いつも通り重苦しい空気を陽気な音楽とアクロバティックなカメラワークで包んでいる。やがて、ジャイトがシベルと寝た男を殺してしまい、ジャイトの物語からシベルの物語にシフトして堕落からの再生を繰り返す。結局シベルは愛＝ジャイトよりも強いもの、つまり子供を取ることで偽装結婚から発展した恋愛は幕を下ろすんだけど、あり得ないセンチに流すより現実的で好ましい。ファルハディなら待ち合わせのバス停の長回しで終わってそう。あいつイジワルだから。
シベルが別の男と寝てる間、ジャイトが部屋を荒らして掃除するのカワイイよね。こういう間接的な心理描写って好きなんだけど、アキンって結構得意な気がする。
ドイツ語で"あっそう"って"アーハゾー"というから覚えやすいって言われた。そして、ジャイトはマチュー・アマルリックに似てる。
