唯

椿姫の唯のレビュー・感想・評価

椿姫(1937年製作の映画)
3.9
気品と余裕の溢れるマルグリットを演じるグレタガルボがひたすらに美しい。
社交界の華として振る舞い続ける彼女だが、一人になればただの女というギャップがまた可愛らしい。

スペックだけは高いがクール過ぎるおじさん男爵より、金はないけど世間を知らずで夢と愛を信じる青年に惹かれるのは当然。
しかし、男爵との関係を断ち切れないマルグリットは、二股状態でアルマンを傷つける。

マルグリットはとにかく自己肯定感が低く、自分は愛される価値などないし幸せになれるわけがないと思い込んでいる。
自分に自信がないが故に周囲の言葉を真に受けては、社会的レッテルを自分自身に張り巡らせてしまう。

恐らくマルグリットは、返すあてもないのに借金してまで遊び呆けるこれまでの自分を軽蔑していたのだろうし、そんな生活によって自分の価値を貶めて来た。
アルマンの父や男爵に否定され、アルマンにも拒絶され、心も身体も病んで行く。

自身の両親は愛し合っていて愛されて育って来たがために健全な精神のアルマンは、貧乏暮らしでも幸せを見出せる人間(といっても十分金持ち)。
父親が彼の放蕩暮らしを心配するのは分かるけど、マルグリットを一方的に全否定して彼女の人生を奪ったことは許し難い。
もっと建設的に話し合い、二人が共生する道を探るべきなのに、、父には全てを打ち明けて負い目を背負って頂きたい。
そもそも、田舎暮らしでもアルマンがちゃんと働けば問題なかったのでは??

男爵との暮らしは退屈そうで、アルマンとのほんのひとときの田舎暮らしの瞬間だけがマルグリットの幸福だったと思うとやりきれない。
下品な友人達は本当にただの意地悪だったし。

マルグリットとアルマンは切っても切れない運命の相手であったことは確かだが、ガストンが一番の良い相手だったのではないかと思うね。。
唯