A8

愛と青春の旅だちのA8のレビュー・感想・評価

愛と青春の旅だち(1982年製作の映画)
3.9
海軍将校を養成する学校で人々が試練とぶつかりながらも、恋を知り大人になっていくという物語。

冒頭から中盤にかけて、リチャードギアのプロモーション映画なんじゃないかと言わんばかりに、彼の澄ました表情が印象的だった。

ある時、彼の不正が教官にバレてしまう。教官は容赦なくここから出ていけ、辞めろ!というのであった。だが、彼は頑なにそれを拒む。なぜそこまでして、、、それは彼の居場所がここしかなかったのだ。それがわかった途端、歯車が急に噛み合ったようにこの作品は動き出した。

リチャードギア演じるザック(マヨネーズ)は小さい頃に母親を亡くし、名ばかりの父親にフィリピン🇵🇭の娼館で育てられた。
そんな壮絶な幼少期の生活により、彼は人を信じるという気持ちを失い、本心を決して誰にも悟られないように生きているようだった。
そして、“生きる”ために選んだのが軍人である自分の父よりも偉くなるということで、海軍将校の養成学校に入ったのだ。
そう顧みれば、彼の澄ました表情やどこか斜に構えた姿に納得がいく。
だけど、ともに訓練を乗り越える仲間で親友になったシッドや愛をはじめて知ることになった恋人、そして憎み成長させてくれた教官との関わり合いから彼は大人になっていく、、そんな青春映画だった。
愛と青春の旅立ち、、素晴らしい題名と思った。

印象的だったのは、ある清々しい朝のこと、恋人があることをスッと語るように明かした後、彼がいままで誰にも明かすことのなかった過去を話したシーン。彼の心に愛が宿るシーンだった。だか、愛を知らないマヨネーズは、これほどにも順調な恋!というところで彼女の前から逃げたのだ。なぜ、、?と思うのだが、彼の不安や彼女への本気の想いそして、自分の心を守る防衛本能のようなものに感じ、彼という人間を知った。

愛もましてや青春も何も知らなかった彼は、本気になれるモノと出会いはじめて成長という壁にぶつかり、悲しみや喜びを知り、自分という人間を見つけ旅立ちを迎えることができたのだろう。

晴れて将校になったマヨが工場に勤める恋人を迎えにいくシーンはとても美しかった。
そして、卒業した将校となった彼らに教官が罵詈雑言から敬語になりおめでとうというシーンは、教官の人間性やプロ魂を感じた。

人間的に成長していく
A8

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