いいなー、私も金持ちになって広いお屋敷に住んで、猫や犬たくさん飼って、散歩とか餌やりとか面倒なやつは使用人に全部任すやつやりたい。
主人公のエンジェルが作家になる夢を叶えて出版記念パーティーやった時、英国国歌をBGMに颯爽と登場したの笑った。よっ!女王様!って盛大な拍手で迎えたくなる。劇場での2階席から大衆への挨拶といい、作家としてノリにノってる時代の自己陶酔や過剰な自意識は側から見ると滑稽に見えるけど、作家としては最大の武器だったんだろうな。幻想や虚構という鎧をまとい腕一本でのしあがってきたエンジェルには尊敬しかない。
幼い頃からの憧れだったお屋敷=パラダイスハウスは、さながら「市民ケーン」に出てくるザナドゥのよう。お金、名声、美しい夫、かしずく人々、高価な美術品や調度品etc...そして夢だった富と成功の象徴=パラダイスハウスを手中にしたけど、その実、ハリボテで中身は空っぽ、それこそ映画のセットや書き割りみたいなものだったのかも。
夫の死や生前の不貞(エンジェルがあげたお金は全部愛人に渡っていた。愛人との間に子供がいた。※エンジェルは流産。出兵してた頃エンジェルには一度も会いに帰らなかったのに愛人には休暇の度何度も会いに行ってた。その愛人はエンジェルが夢を掴んで手に入れたお屋敷パラダイスの元住人の元お嬢様=昔馴染みだった。彼女はエンジェルとは真逆で質素だけどセンスの良い服を纏いひっそりした部屋で、息子と共に生活している…何重ものショックな現実)を知ったことで自身の最大の武器である自己陶酔力や自己愛、自尊心をぽっきりへし折られてしまったエンジェル。もはや読者=大衆はおろか自分にすら立ち向かえなくなり、時代に取り残されるまま衰弱していくしかなかった晩年の描写は辛すぎた。。
なんでこの時代には珍しく自立した女性なのに(だからこそなのか)、ダメな男を愛してしまったのか…。
それにしても、シャーロット・ランプリングの麗しい三白眼で睨め付けられたら、やってないことでも謝罪ちゃうわ私なら…。目だけで恫喝、怖かった😅