チッコーネ

マレーナのチッコーネのレビュー・感想・評価

マレーナ(2000年製作の映画)
4.0
狂言回しの少年を追う前半は喜劇的で、よく観ると悲惨なエピソードもサラリと流していくが、クライマックスは非常にハードボイルド。
天賦の美を備えた女性を襲う受難の激しさには思わず目を覆いたくなるが、清濁の混在する人生を、余さず描こうとする監督の姿勢が素晴らしい。

ロケ場面が多く、エキストラの数は豊富。編集にもスピード感があり「さすが90年代のイタリアで、トップを走った監督の作品」という豊かさが感じられる。
スタントを使っているのかいないのか、かなりアクロバティックな動きに対応している少年の身体能力もすごい。
そしてモリコーネの郷愁をそそるテーマソングは、安定の美しさだ。