YasujiOshiba

プロメテウスのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

プロメテウス(2012年製作の映画)
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備忘のために:

- たしか公開時に見てるはずだが、『コヴェナント』を見たので見直した。いくつかの発見があり、なかなか楽しかったな。

- フルートのシーンを確認。なるほど、「エンジニア」の宇宙船を操作するために、あそこでデイビッド(ファスベンダー)はフルートを吹いている。

- エリザベス・ショー博士を演じたノオミ・ラパスも強烈。いやはや、なぜか忘れていたんだけど、あの帝王切開のシーンなんて、そりゃもうすごいわ。未見の「ドラゴンタトゥーの女」シリーズを見たくなってきた。

- シャーリーズ・セロンも印象に残ったよね。すげー美人なのに悪役をみごとにこなすんだよね。それも、どこか憎めない悪役。だから『マッドマックス』のフリオーサができちゃう。

- エイリアンシリーズの背後にあるのは(あるいはこの時点から背後に置かれるようになったのは)、ようするに神殺しの物語なのね。人間がこんなに人殺しが好きなのは、人間をエンジニアリングした創造主が生物兵器のエンジニアリングが得意だからってことだよね。殺し好きの親から生まれた子は、殺し好きにとして、親に牙を剥く。つまり、被造物が創造主に牙を剥く神殺し。

- デビッド・リーンの『アラビアのロレンス』からの引用が秀逸にして重要。それはデイヴィッドがエンジニアがいるはずの星に着陸するときに口にする。

There is nothing in the desert and no man needs nothing.

オリジナルではファイサル王子がロレンスに言うセリフにそれはある。

No Arab loves the desert. We love water and green trees, there is nothing in the desert. No man needs nothing.

イギリス人には時々砂漠好きがいるけれど、「アラビア人で砂漠が好きなものなんていない。おれたちが好きなのは水や緑の木々、砂漠には何もない。何もないのが好きなやつなんていないのさ」。

このセリフは、デイヴィッドの創造主であるピーター・ウェイランド(ガイ・ピアース)の最後のセリフにつながってゆく。彼が永遠の命を求めた場所は、けっきょくのところ、アラビア人たちにとっての「砂漠」だったというわけだ。

けれどもロレンスはその砂漠を愛した。そしてデイヴィッドも。だからこそ続く『コヴェナント』は、孤高の男の、砂漠の物語になるというわけなのだろう。

2020/10/25 追記
エイリアンシリーズのBDボックスを買ったので、1から4までずっと見てきた。それからプロメテウスをみるとなるほど、なぎちゃんの言うとおり、第一作の雰囲気に戻っているのがわかる。同じリドリー・スコットだというのもあるのだろう。もちろん第一作からははるかにバージョンアップしているのは特殊効果だけじゃなくて、「エイリアン」の世界観。エイリアンという怪物を作り出したのが、実はエンジニアという創造主であり、人間がその血を引いているというストーリーは、寓話としての「エイリアン」の背後に、ひとつの大きな神話(あるいは神話の解体という神話)を展開してみせてくれて秀逸。
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