LEO

明日に向って撃て!のLEOのレビュー・感想・評価

明日に向って撃て!(1969年製作の映画)
5.0
1890年代の西部を舞台に家畜を盗み、銀行強盗、列車強盗を繰り返すブッチとサンダンスは、追い詰められた挙句ボリビアへ逃げるが、そこでも銀行強盗を繰り返し警察と軍隊に追い詰められる。
そこでオーストラリアを目指して再び逃走を試みるが…という話。

実在した強盗ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドの逃走劇をモデルにした、アメリカン・ニュー・シネマを語る上でも欠かすことのできない作品である。

同じく強盗で名を馳せた2人をモデルにした『俺たちに明日はない』もいいが、自分としてはこちらの方が好き。
バート・バカラックがフッテージを見ながら画面に旋律を付けていったというジャストマッチな音楽、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの何とも言えない魅力に支えられたユーモアとウイットに富んだ会話、そこに清楚な女性から一転犯罪に手を染める元女教師という複雑なキャラをサラッと演じるキャサリン・ロスを溶け込ませる名人芸的なロイ・ヒル監督のキャスティング、そしてストップモーションにして悲劇を前にしても夢を追い続ける二人を描いたラストショット。

ストーリーにしてもブッチとサンダンス、そしてエッタの三角関係…とも見える不思議な友情を描きながら、誰もが悲劇的結末を予想するラストに向かって西部劇らしからぬ喜劇的要素や青春エピソードをふんだんに盛り込んで進めていく。
ブッチとエッタが自転車で2人乗りをするシーンで「雨にぬれても」が流れただけで鳥肌もの。
もうどれをとっても素晴らしい!

アメリカ国立フィルム登録簿に登録されただけの事はある、これからも語り継がれていくであろう名作だ。
LEO

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