コーカサス

台風クラブのコーカサスのレビュー・感想・評価

台風クラブ(1985年製作の映画)
3.5
台風が上陸するとともに、狂喜乱舞する少年少女たちの四日間を描いた物語。

まだ大人でも子供でもない多感で未熟な中学三年生の抑えきれない感情や、愛や性に目覚めた“思春期という名の狂気”を瑞々しく描いた青春映画である。

子供たちの決してお世辞にも上手いとはいえない芝居はさておき、相米監督特有の“長回し”や小津映画を思わせるショットは相変わらず秀逸だ。

子供の頃に体験した台風や雷などの災害が、何も不安ばかりではなかったように記憶するのは「もしかしたら明日の学校は休みになるかも?」という、どこか期待めいたイベントのように、その子供ならではの悪戯ごころを楽しんでいたからかもしれない。

それは大袈裟に云うならば、恐怖から発展した破滅という解放からだろうか。

何を隠そう、85年は筆者も同じ15歳。
劇中の彼らのように思春期真っ只中だった訳だが、あれから40年近く経った今では台風が来る度に悩まされる低気圧頭痛から解放されたいものである。

53 2023