fujisan

フローズン・タイムのfujisanのレビュー・感想・評価

フローズン・タイム(2006年製作の映画)
3.2
エロい妄想が美しい映像とともに流れていく映画でした。

印象的なパケ写のおかげで根強い人気がある本作。先日観た「ロブスター」の濃さにやられてしまっていた私には、ちょうどよいライトな作品でした。

本作は2008年のイギリス映画。写真家としても有名なショーン・エリス監督が2004年に作った短編映画「CASHBACK」がアカデミー賞 短編実写映画賞にノミネートされたことから、その長編版として本作が作られたそうです。


■ どんな映画?

美大生のベンは、恋人スージーと破局したことから極度の不眠症になり、夜の時間にスーパーマーケットで働くことに。失恋に落ち込むベンでしたが、お馬鹿な仲間たちと働くことで元気を取り戻していきます。

一方、不眠症は収まらず、とうとう不眠が二週間に達する頃、限界を超えたベンは時間の流れを止められるように(!)

時間が止まっていることをいいことに、店内にいる美しい女性たちの服を脱がせ、ヌードのデッサンをしていく美大生のベン。色々楽しいことが増え、元気になったベンは、気になっていた同僚女性シャロンとの距離も近づいていきます。

そんな中、シャロンとちょっとしたきっかけで仲違い。ベンはさっそく時間を止め、止まっている時間の中で、シャロンとの関係をどのように修復したらいいかを考えるのですが・・・というお話。


■ 感想

なんでもAV業界では、”時間を止めて好きな異性とコトに及ぶ”、というシチュエーションだけでひとつのジャンルになっているそうですが、もちろんそんな展開はありません😅

以前、パリコレの舞台裏の海外ドキュメンタリーを見たことがあるのですが、高身長のモデル女性達は早着替えのためにすっぽんぽんで普通に歩き回っていて、どちらかというとそっちの雰囲気のほうが近かった感じ。

写真家出身の監督というだけあって、モデル体型の美しい女性たちのヌードはまるでハイファッションのポートフォリオ写真のように美しく、そこにエロさはありませんでした。

で、、考えてみると、この作品に取り立ててテーマはなく、失恋で落ち込んだ青年が見た妄想が流れていく。それだけの映画だったように思います。

そもそも時間を止める方法や理論の説明はなく、個人的には、あまりに重度な不眠で、意識を失った状態の中で見た妄想なんじゃないかと思うのですが、その設定も特に大事ではなかったですね。


本作はルッキズム(外見至上主義)バリバリの映画でもあり、多分、今はもうこういう作品は作れないとは思いますが、2008年の映画ということで、軽く楽しめる作品としては面白かったのではないかと思います。

ただ、映画としては、最初15分ぐらいの立ち上がりが遅く、途中のフットサルのシーンも長すぎた感じ。『一発芸』 的な映画でもあるので、もしかすると元になった短編のほうがリズム良く楽しめたのかもしれませんね。
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