シネラー

三十四丁目の奇蹟/34丁目の奇蹟のシネラーのレビュー・感想・評価

4.5
クリスマス映画の古典とも言える
本作を初鑑賞。
サンタクロースを巡っての裁判の中で、
人の人の大事な信頼や温かみを描いた
素晴らしいクリスマス映画だと思った。

物語としては、
クリスマス商戦の真っ只中の
ニューヨークを舞台に、
サンタ役を任された老人クリスが
そのユーモアさで人気者となっていくものの、
自身を本物のサンタクロースと信じる
クリスを巡って裁判へと発展していく、
ファミリー的なクリスマス映画となっている。
空想的な物を信じない
少女スーザンとクリスの交流が描かれ、
次第に年相応な行動を見せていく
スーザンは可愛らしくて微笑ましかった。
それ以外の交流に関しても、
登場人物達の皆がクリスを次第に
信じるようになっていくのが、
爽快な面白さも感じられて良かった。
又、商業的な会社がクリスの働きで
消費者を優先したクリスマス商戦を行うのは、
その優しさが現代にも通じる
事柄なだけに尊く思った。
そして、各々の立場での主張や思惑が絡んだ
サンタの存在を巡る裁判は、
滑稽なコミカルさもある事で
とても楽しめる真面目ながらも
可笑しな裁判模様だった。
最終的にクリスが本当にサンタクロース
なのかも曖昧に描いているのも、
物語に余韻を残していて良かった。

不満点も特に無く、
ファンタジー的な事を真面目に
裁判という形で展開し、
多少こじつけな結末であっても
その突っ込みは野暮と言えるだろう。
強いて言うならば、
説明的な物語進行になっている部分が
多いようには思った。
加えて、別作品の不満なだけに
あまり綴らなくても良い事なのだが、
サンタを完全に信じられなくさせた
『ALWAYS 三丁目の夕日』は、
少年時代にそれを観た自分にとっては
罪深い作品だと思った。

荒唐無稽な御伽話や伝承が
現代に至るまでに伝えられるのは
何故だろうか、
子ども達に夢や教訓を与えるだけでなく、
そんな夢物語の中にも真実があり、
それが人々が信じるからではないだろうか。
そんな事を考えてしまう
夢と温かみに溢れたクリスマス映画だった。
リメイク作との比較もしていきたい。
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