真世紀

大日本帝国の真世紀のネタバレレビュー・内容・結末

大日本帝国(1982年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

Amazonプライムで観る東映三時間大作戦記映画。

開戦から南方戦線を中心に、上は歌舞伎役者の市村萬次郎演じる昭和天皇から丹波哲郎の東條英機、石原莞爾に若山富三郎、そして前線の将兵たちに三浦友和、あおい輝彦、篠田三郎、銃後の妻、恋人に関根恵子、夏目雅子らが出演。

描かれたサイパン戦などの末に戦場に倒れ、今夏も参拝した千鳥ヶ淵へ納骨された方に自然と思い至り心痛み落涙しつつ観る。

特撮で再現の印象の東宝戦記映画と比すと記録映像を多用してると思うんだけど、むしろ、今となってはそれにより、この艦砲射撃や爆撃の先、米兵が構え洞窟に向けられる火炎放射器の炎の先に犠牲となった方がおられると思うと胸が苦しくなる。

麗しの夏目雅子さんは学生篠田三郎の恋人役。胸を病んでらっしゃるんだけど、そして、教会で知り合ったみたいだけど、一緒になぜか古寺を巡拝。その夜、ついたてまで立てて布団離して寝てる篠田から翌日の志願入営、さらに自分が死ぬときにはあなたの名前を呼んでいいですかと問われ、抱擁落涙という役どころ。

戦傷で東京の病院へ送還、また戦地に戻らなければ戦友に申し訳ないと語るあおい輝彦に胸をはだけて(お胸のクローズアップは残念ながらボディダブルなんだけど)生きるように迫る関根恵子さんもいいけど。

二部構成の後半では篠田三郎、フィリピンへ。現地で親日派の両親をゲリラに殺された少女マリアと知り合う。雨雨ふれふれの童謡を教えたり、日本に残した恋人を思わせると語ったり、そして、ついつい押し倒しちゃったりするんだけど、それが夏目雅子さんの一人二役。脚本の笠原さんら、あざといことするな(笑)。ガングロ的な夏目雅子さんもよしだからいいけど(爆)。

だが、撤退戦の最中、西郷輝彦が荷物運搬を手伝わせた現地の皆さんを口封じに殺害、マリアも見殺しにしてしまう篠田三郎。この事件により後に戦犯として裁判に掛けられることになる。

あと、公開当時は東條に同情的なあたり(例えば首相就任に際して天皇の意志が戦争回避に有ることを知り、その意に従わんとするもアメリカの強硬姿勢でやむ無く開戦という描き方)とか右寄りと批判されてたようだけど、案外、天皇の戦争責任に関して、それとなく、突いている台詞も。

例えば戦後、戦犯として裁かれ、銃殺刑になる篠田三郎の末期の台詞が「天皇陛下お先に参ります」と、もう天皇も戦犯として裁かれ、同様に死罪となること前提としか思えぬものだったり、同じく裁判にかけられている西郷輝彦が陛下が必ず援軍を送ってくれるはずと思い込んでいたりととらえようによっては手厳しいのであった。
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