十一

哀しき獣の十一のレビュー・感想・評価

哀しき獣(2010年製作の映画)
4.0
冒頭の狂犬病は、誰の話だったのか。女を奪われたことを過剰な暴力の動機にしていたのが、主人公だけではなかったのだと明かされる、最後のバス会社社長の呟きに、狂った一匹の犬が佇む光景ではなく、本能に駆り立てられた獣たちが、互いに嚙み殺し合い、ついには一匹も残らずいなくなってしまう空虚な風景が浮かび上がる。金と女を巡り、群れを作り地位を争う。人間の、特に男という生き物の逃れられない獣性が、同情を求めない感傷で描かれる。「人狼」とテーマ的には近いものを感じる。
十一

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