ビターチョコ

犬神家の一族のビターチョコのレビュー・感想・評価

犬神家の一族(1976年製作の映画)
4.0
原作は横溝正史が1950年に発表した推理小説で、1976年に(角川書店社長だった)角川春樹が映画化した。明らかに大人向けの映画だが、ドリフが(人気お笑い番組で)パロディにしたせいか、小学生にも認知度がとても高かった。
当時、この『犬神家』に限らず、テレビCMなど広告が多い映画は「国民的なイベントみたい」で、みんなが楽しんでいた気がする。だからテレビ初放送時は、視聴率がかなり高かったはずだ。

あらすじ。
製薬事業を一代で築いた大富豪、犬神佐兵衛が老衰で死んだ。莫大な遺産を残したが、周辺で殺人事件が続く。私立探偵の金田一が調査し、事件の真相が次々に明らかにされ、そして全貌が明らかになった時……。

大好きな映画。
私が好きな理由はたぶん金田一耕助の存在。脱力系の男で、演じた石坂浩二の好演もあり、映画は大ヒットした。坂口良子が演じた女中も良かった(可愛いくて好きだ)。

何人死んだ?
日常生活の中で、ふつうの人が次々と殺される。だが石坂と坂口の脱力系の名演で「陰鬱さ」が和らいでいる、島田陽子演じる美女・珠世と、彼女の下男・猿蔵もいい味(忘れられない)。

2時間26分と長めの映画だが、大野雄二による音楽が心地よく、一級の娯楽作になっている。

なんといっても、戦争で受けた大ケガを隠すための「白いマスク」にインパクトがあった。さらに湖から突き出した二本の脚もあり、ビジュアルインパクトがすごい映画。写真や絵が一枚あれば、「犬神家だね」と一発で判るから。

私はこの映画で市川崑監督を知った。まずOPがいい。文字が特徴的で、極太明朝のスタイリッシュなビジュアルは凄いオリジナリティだ(庵野秀明が『エヴァンゲリオン』でマネした)。

いつか不明だが、私はまたこの映画を観るだろう。