Ricola

いとこのビニーのRicolaのレビュー・感想・評価

いとこのビニー(1992年製作の映画)
3.7
この年代特有のイケイケな雰囲気が終始漂うなかで、ただノリノリなコメディストーリーが繰り広げられるだけではなかった。
この作品では裁判が物語の中心である。サスペンス映画としての筋書きも説得力のあるものであり、そういった点でも見応えのある作品であると思う。

些細なことから勘違いが生まれ、またタイミングもさることながらとんでもないことに巻き込まれた若者二人。
彼らを助けるために呼ばれたのが、そのうちの一人のいとこであるビニー。
彼は弁護士だったが、実際の訴訟を扱うのは初めてだった。


ノリノリの音楽のなか田舎町を車で駆け抜けていたオープニングから、こんな真面目な側面もある展開になるなんて思いもしなかった!
もちろんそれは、いい意味でである。

アラバマ州という南部の田舎町で、浮いている派手な格好のビニーと彼の恋人のリサ。
彼らがボロめの車に乗って現れると、町のおばちゃんやおじいちゃんたちがぼう然と見つめる。
その様子だけで笑えるが、さらに彼らが車から降りて姿を現すと、より怪訝そうな表情を浮かべるのがまたおかしい。

前半では、証言を聞くたびに自分たちに不利なものが出てくるので、二人は落胆する。
その様子の彼らの動きに呼応するように、カメラが上下に動く演出が特に面白かった。
そのカメラワークは、彼らの身振りに加えてさらなるコミカルさが強調しているようだ。
彼らの演技自体がオーバーというわけではないのだが、そこにカメラの「演技」が加わることによって、シリアスなはずの場面でつい笑ってしまう効果が生み出されているように思う。

町のさまざまな「騒音」に睡眠妨害されたり、裁判官とビニーの闘いなど…笑いの要素が至るところにあるのだ。
とは言っても、サスペンスとしての重要な伏線が前半にちゃんと組み込まれており、単なるコメディ映画ではない。

この作品ではサスペンスが主軸にあるが、濃いキャラクターやギャグ(?)のおかげでコミカルタッチで楽しい作品である。
そのうえ、サスペンス作品としての道理がきちんとしているので、変にモヤモヤせずに観られる娯楽作品である。
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