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天井桟敷の人々のKSatのレビュー・感想・評価

天井桟敷の人々(1945年製作の映画)
4.0
そういえば観たことなかったわ〜

19世紀前半、復古王政時代のパリで繰り広げられる恋模様。

改めて考えるとなっかなかドロドロした人間関係だなあ、、、

でも、セットも衣装も華麗で優雅で、パントマイムも素晴らしく、3時間全く無駄がない。もはや、この映画を観る時間すらも優雅だったわ。それでいて「ホントに決闘するんか!?」とかちょくちょく笑かしてくるから、油断ならない。こんなん、ナチ占領下でどうやって撮ったん?

直接的な性描写こそないけど、ハリウッド映画とは違い、割とそれを匂わせる表現もたくさんあるところがこの時代のフランス映画の面白いところ。それでいて全く下品ではない。

ジャック・プレヴェールによる詩的な台詞回しの数々は確かに美しいけど、こういうところが多分、トリュフォーとかにボロクソに言われた「フランス映画のある種の傾向」ってやつなんだろうな(知らんけど)。でも、お前らだって結局、後々になったら詩的な台詞やドロドロした恋愛扱った映画撮っとるやないか。この映画だって、十分面白いぞ。

しかし、ラストに至る展開はあまりにも鬼畜すぎて、もはや爆笑してしまった。でも、これでもかという人の波・雑踏の前には、どんな恋も消え失せるのだ。雑踏に終わる映画は、名作多いね。
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