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マイケル・ムーアの世界侵略のススメのKSatのレビュー・感想・評価

4.1
ペンタゴンからどうしたら米国が戦争で勝てるか問われたマイケル・ムーアは、なら、世界中の米兵を引き揚げさせろ、代わりに一人で世界中を侵略してそれぞれの国の良いモノ持って帰るわ!と言って、世界を回ることに。すると、世界の国には、米国にはない様々なモノが見つかるのだった、、、

日本のバラエティ番組でもよくやる「海外にはこんな素晴らしい社会制度がある!」「日本も見習うべきだ!」的なつくりではあるが、このドキュメンタリーの場合、マイケル・ムーアのキャラクターの根底にあるのがいかにもな保守的なアメリカ白人であるところが面白い。だから、それぞれの国に対しての第一印象もステレオタイプに茶化して表現する。しかし、行ってみたら実は侮れなかった、という展開がなかなか絶妙。

いやあ、こうやって見ると確かに今のアメリカ酷いなあ。そして、「シッコ」の時も思ったけど、日本は見事にアメリカとヨーロッパ諸国の間、ド真ん中って感じがする。だからこの映画は、日本人にも刺さるだろう。

もう少しヨーロッパ以外の国(アジアやチュニジア以外のアフリカ、中南米、オセアニアなど)にも行ってほしかったが、個人的には、ドイツ、ノルウェー、チュニジアのパートが感動的だった。特に、チュニジアの女性がマイケル・ムーアに語る内容は、多分、アメリカ人なら刺さるんじゃないだろうか。そして、最後に待ち受ける結論も。実は、「愛国心とは何か」についての映画だと思う。

そういう意味では、マイケル・ムーアは真の意味での愛国者だと思う。彼が毎回毎回、自国の批判を展開するのは、アメリカが大好きだからだよね。素晴らしき哉、ツンデレオジサン。

ただ、フランスの小学校の給食室で子供たちにコーラ勧めるのはやめようや。みんなドン引きしてたで。
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