ゆめちん

スリーパーズのゆめちんのレビュー・感想・評価

スリーパーズ(1996年製作の映画)
4.0
スリーパーズ
 
上映当時に映画館で鑑賞し、今回改めてDVDで見直しました。同じ作品でも観る年齢によって、感想が違ってくるのも、また映画の面白いところ。
 
1960年代のマンハッタン。ヘルズ・キッチンという貧しい地区で育ったシェイクス、ジョン、マイケル、トミーの4人組は仲が良く、周囲に支えられ毎日を逞しく生きるも、度が過ぎたイタズラが思い掛けない事態を招き、4人は少年院送りに。
 
題名のスリーパーズは "少年院上がり" という意味だそう。4人が屋上で太陽を浴びながら、仰向けで寝そべるシーンが印象に残る。

物語の前半で少年時代を、後半は大人になった現在が描かれる構成。少年時代の描写がとても丁寧に描かれているからか、大人になってからの主人公たちに感情移入してしまう。優れた脚本と抑えめな演出の、バランスの良さが際立っている。
 
豪華キャスト陣がやはり魅力的。それぞれの持つ個性が上手く引き出され、作品に重厚感を与えている。
ケヴィン・ベーコンの癖のある嫌らしい演技が役柄にはまり、後味の悪い余韻が最後まで残るが、この余韻が本作には欠かせない。
そして4人を幼少期から温かく見守り、聖職者という立場で葛藤に苦しむ、ボビー神父を演じたロバート・デニーロの存在感はさすが。

当時観た時は、ある意味 "願いどおりの結末" ですっきりとした感覚を抱いたけど、今見直すと、何が善で何が悪なのか、ボビー神父の決断は正しかったのか、様々な考えが頭を巡り、複雑な気持ちに。

たった一度の過ちが、自身の人生を大きく変えてしまうし、周りの人生も変えてしまう。
ただ、ラストの久しぶりに再開した4人とキャロルが、昔のように笑い合うシーンを見ると、その友情だけは変わらないのが、せめてもの救いだった。
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