円柱野郎

かいじゅうたちのいるところの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

8歳の少年、マックスは子供らしい子供だけど、少々かんしゃく持ち。自分の思ったとおりにしてくれなかった家族への不満から、ある日家を飛び出すが…そのままボートに乗り“かいじゅう”のいる島へ。なんと、現実からまったく地続きな空間としファンタジーの世界になってしまったじゃないか。この辺はいかにもスパイク・ジョーンズらしい世界観ですな。(一応、空想を匂わせる演出はある。)
“かいじゅう”達は着ぐるみで撮影され、顔にCGで表情をつけたものだけど、これがなかなか独特の風合いで不気味な可愛さがある。原作の絵を生かしたデザインではあるが、子供にはちょっと怖い?w 個人的には「ネバー・エンディング・ストーリー」のファルコンを思い出し、なかなか良い感じではあった。
そしてそこで描かれるかいじゅう達の社会は、主人公(つまり8歳の子供)の意識を反映したものであって「子供の夢」そのもの。このあたりはかなり原作から膨らまされた部分だけど、マックスとキャロルの鏡像のような設定を見せることで、マックス自身が自己を見つめ直しているとする流れは、映画的な膨らませ方とすると正しいと思う。ただ、単純に子供らしい暴れん坊だった原作のマックスと比べ、映画版は序盤に“かんしゃく持ち”が強調されているので、大人からすると子供のイヤな一面として映らなくもない。原作と比して、マックスが親に心配をかけすぎているお子さんだというプロットも、俺が感情移入しきれなかった一因かも。
円柱野郎

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