TaKeiteaZy

レクイエム・フォー・ドリームのTaKeiteaZyのレビュー・感想・評価

4.4
母、息子、その恋人も友人も、ドラッグでダメになる話。

て書いたらそれでおしまい、おしまいまでの一本道しかないんだけど、これ、「クスリ、ダメ、絶対!」に終わらないめちゃくちゃ名作です。

まず、映画というより、映像作品として素晴らしい。シーン割り、リフレイン、恐らく本当に見た人に聞いて作ったのであろう幻覚の表現、全てが魅力的でずっと惹きつけられます。それで、そのまま一緒におしまいまで。

そして役者、まず母親役のエレン・バースティンが凄まじい。もしこれが自分の母親だったら、と思いたくもないのに、めちゃくちゃ孤独な母親なので、同じ年齢くらいの母親がいる人の心に影を落としていく名演でした。彼女だけでも見る価値があります。

あとジェニファー・コネリー。チート級の美人なのに、自分が見たのは「フェノミナ」からでしたが、その時からずっと汚れ役を体当たる体当たる。幅をガンガン効かせにくる名俳優ですね。恐らく役者としての覚悟が最初から段違いなのだろう。

ジャレッドレトは、俺は彼のバンド30 seconds to marsのファンなので、やっぱ高音がきれいだなあ、と思いました。

かわいそうな人達がかわいそうなまま。ハッピーエンドなんてあるわけないのに、途中心の中でどうか救われて、と祈ってしまうほど心が限界まで持っていかれる、苦痛に満ちた作品です。自業自得もあれば、そうでないのもあり、社会の残酷はただただ無慈悲に降り注ぐナイフの雨だと思い知らされますね。襟をただしました。

なんか見終わってすぐもっかい見ちゃったんだよな。そういう危うさもある取扱注意の闇トレインスポッティングです。
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