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メガマインドのnntmkazuyotaroのレビュー・感想・評価

メガマインド(2010年製作の映画)
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メガマインドが大きな窓から見るメトロシティに感動するシーンが笑えるんだけど、たぶん窓を知らないとかじゃなくて刑務所で育ち、古い展望台を基地にしていたから見たことがなかったのだと思うと物悲しい。
だが同時に、メガマインドは窓に写る街の景色に感動する心があり、心を持った人物であるということでもある。そんな彼が良心を諦め悪に存在意義を見出す姿は破茶滅茶なギャグ描写であってもやはり切ない。

自分の気持ちではなく生まれ持った能力や育った環境で、無意識に「こうでなければいけない」とか「こうするしかない」と思ってしまう。人生を自分で選んで生きるということは簡単なようで難しい。
まるでシェイクスピアのリチャード3世のように悪党を目指すメガマインドは、リチャードと同じでどこか滑稽で心の底から憎めない。それは彼等が選んで「仕方なく」悪党になったからだ。社会においてその生い立ちが容姿が彼等を失望させ悪党にしてしまったのだ。
これは現代の社会においても大いに当てはまることで、固定概念や偏見が生み出すものに良いことなんてひとつもないのに捨てたりそこから脱したりすることは簡単ではない。

だからこそ自分にも他者にも「できない」「似合わない(相応しくない)」と決めつけてはいけないし、自分を誰かと比べて既存の何かに当てはめる必要はない。
メガマインドは、その固定概念を振り払いかつてなりたかったヒーローになり、メトロシティを救い恋を叶える。
現実はそんな上手くいくはずないとしても、夢や希望を持つことの意味を伝えるには十分に素晴らしい内容だった。

自分の本当の気持ちを大切にし諦めずに追いかけるというテーマはウィル・フェレルが映画やコメディーでずっと表現していることなので、ほんとこればっかだなと思いながらも愛おしさでどうにかなってしまいそうな今日この頃。
超絶はまり役なメガマインドの声優にウィル・フェレルを選んだ人に拍手と花束をさしあげたい👏💐
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