うにたべたい

月光仮面のうにたべたいのレビュー・感想・評価

月光仮面(1981年製作の映画)
4.0
テレビ版、そして東映映画版全6作の終了から年月の経った'81年に公開された映画・月光仮面。
過去作のリメイク、というよりは新たな解釈を加えて作られていて、設定が過去作から大きく変更されています。
ただ、"悪の怪人を必殺技で蹴散らす正義のヒーロー"のような、特撮ヒーローらしい姿は過去作同様に描かれず、悪の組織の企みを、颯爽と現れた月光仮面が阻止するという流れは過去作を彷彿とさせてくれました。

レッドマスク団と呼ばれる強盗団による現金輸送車襲撃事件が相次ぎ発生する。
その実態は理想国家・ニューラブカントリーの建国を目指す「ニューラブカントリー教団」によるものだった。
ニューラブカントリー教団の教祖・竹林賢法率いるレッドマスク団が本作の悪の組織で、月光仮面は警察の捜査を見守りつつ、レッドマスク団と戦う展開となります。
なお、ニューラブカントリー教団の構成員は、多くは若者で占められていて、無個性な若者たちの集団心理に対する活入れが1つのテーマになっていると思いました。

ストーリーはシンプルです。
また、過去作に比較すると、カラーということも大きいと思うのですがかなり見やすく、最後まで面白く見ることができました。
タイトルに"Masked Rider"と冠されていて、なおかつバイクを操る姿は仮面ライダーっぽいのですが、相変わらずバトルシーンは乏しいのでそういう面で期待はできないです。
ただし、バトルは薄いですが、アクションシーンは凄いです。
当時、特撮を使わない生身のアクションを宣伝にしていただけあって、途中のバイクアクションシーンと、ラスト間近の飛び立つヘリに月光仮面がぶら下がって敵を追い詰めるシーンは迫力が凄かったです。
よくあんな視界の悪そうな格好で、あんなスタント決めれるものだと感動しました。

全体的に満足度は高いのですが、過去作の設定を捨ててしまったのは残念でした。
祝十郎探偵も助手の五郎八もカボ子も繁たちも本作では登場せず、月光仮面のトレードマークである二丁拳銃もほとんど使うシーンがなかったです。
視聴が本作からならともかく、過去の月光仮面を懐かしんで劇場に足を運んだお父さんもいたと思うと、もうちょっと元作品を大事にしても良かったのではと思いました。
ちなみに、本作の敵である竹林賢法といえば、旧作で幽霊党の首謀者と言われいていた男ですね。
ここだけ微妙に過去作から引用してきたのはサービスなのだろうか。