ふき

レッド・オクトーバーを追え!のふきのレビュー・感想・評価

4.0
トム・クランシー氏原作のサスペンス小説の、初の映画化作品。主人公のジャック・ライアンを演じるのはアレック・ボールドウィン氏。
一部のジャケットにはショーン・コネリー氏演じるマルコ・ラミウスしか描かれていないが、ダブル主人公なのでご安心を。

本作は様々な面白さがある。
様々な陣営の思惑の中で潜水艦「レッド・オクトーバー」を指揮するマルコ・ラミウスの、空間的にも心情的にも閉塞した一触即発の軍事サスペンス。
些細な手がかりからそんな状況にいち早く気付き、レッド・オクトーバーと接触するべく渦中に飛び込んでいくCIA分析官ジャック・ライアンのスパイサスペンス。
国籍も立場も居場所もまったく違う人々が、一切のコミュニケーションもなく奇妙な信頼関係を紡いでいく人間ドラマ。
それらのサスペンスが解消したところでもつれ込んでいく、米ソが入り乱れての息も吐かせぬ潜水艦アクション。

面白さのバリエーションが豊富なため、扱う題材にしては政治や戦争にそれほど近付かない。良く言えば分かりやすい面白さで構成されているが、悪く言えばポリティカルサスペンスや潜水艦ものとして特化した作品には劣る。しかしサム・ニール氏演じるヴァシリー・ボロディンの語る夢のように、時折ハッとするような時代のディテールが仕込まれており、いいバランスでまとまった良作だと思う。

難点が二つ。
一つは、もの凄く緊迫した場面での字幕の誤訳。戸田奈津子氏の有名な誤訳ネタなので、知らない方はこれを機に調べれて欲しい。
もう一つは、クソコラとしか思えないショーン・コネリー氏の顔。感動の場面で申し訳ないのだが、ツボにはまって腹がよじれるほど笑ってしまった。
ふき

ふき