竜平

ヒートの竜平のレビュー・感想・評価

ヒート(1995年製作の映画)
4.5
プロ強盗団vs切れ者ロサンゼルス市警。アル・パチーノとロバート・デ・ニーロ共演で贈る重厚且つ骨太なクライムサスペンス的ヒューマンドラマ。

改めて見て思い出したけど、わりと最近見たジェラルド・バトラー主演『ザ・アウトロー』が話の流れとかまんまこれだったなと、ってのは本当ただの余談。とにかく魅力たっぷりの今作、銃撃戦を主とした迫力満点のアクション、切れ者同士によるハラハラドキドキの頭脳戦、表向きはこれでバッチリ楽しませてくれる。しかし根底にあるのはどっしりとした人間ドラマ、目が離せなくなるほどに熱い、命をかける者たちの人生の物語、そして「男」の生き様。長めの上映時間をフルに使って登場人物たちの私生活から犯罪現場、そして対峙までをしっかり描いていくわけだけど、驚くほどに見入ってしまうし、それぞれの信念や葛藤に胸が熱くなる。悪党だとか正義だとか関係なく、誰にでも「譲れないもの」ってある。言葉ではなかなか説明できないそれが画面から滲み出てくる感じ。そのために犠牲にするものと貫くもの、全てのドラマが布石となって、やがて訪れるそれぞれの結末にまた新たなドラマを生む。主演二人を筆頭に、全編に香る渋さというのもまた魅力のひとつ。ラストも個人的には非常に満足。そう、この映画において無駄な余韻は必要ない、結末はキッパリここまで、それでいいのである。お酒飲みながら語りたくなる、そんな映画だなと。

あと関係ないけど、強盗団の一人を演じるトム・サイズモア、ロス市警の一人を演じるミケルティ・ウィリアムソン、そしてウィリアム・フィクナー、ここらへん個人的にはもう名バイプレイヤー認定。
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