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かくも長き不在のharuのレビュー・感想・評価

かくも長き不在(1960年製作の映画)
4.0
衝撃のラストシーン。

カフェの女主人テレーズは、店の前で記憶喪失の浮浪者に出会う。彼は16年前に強制収容所へ連行された夫にそっくりだった。彼こそ夫だと確信するテレーズは、彼の記憶を取り戻そうと男を夕食に招く。

「第三の男」で美人すぎる美人アンナを演じていたアリダ・ヴァリが、飲み屋の中年女主人に。別人すぎて全然わからなかった…
戦争が終わっても苦しみは終わらない。夫がいなくなって16年経っても、妻は未だに夫の帰りを待っている。夫の生死は不明で、もしかしたらどこかで生きているかもしれないという希望は常にある。浮浪者の男が本当にテレーズの夫なのかということよりも、彼女が「夫」を永遠に待ち続けられることが大事。もう夫はこの世にいないのだということが決定的になれば、彼女は生きる意味を失ってしまうかもしれない。
一方夫候補の男も(正体はさておき)、過去に収容所にいたことは事実らしく、頭の傷が壮絶さを物語っている。記憶がないのもいろんな意味で納得だし、彼にとってむしろ過去を思い出す必要はないのではないか。その理由はラストシーンで明かされる。
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