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正欲のharuのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
4.0
明日生きていたい人と明日生きていたくない人へ。

桐生夏月は周囲との接触を断ち、家と職場を往復するだけの毎日。ある日友人から中学の同級生佐々木佳道が地元に帰ってきたと聞き、ウキウキするが…

朝井リョウ原作「正欲」の映画化。
世の中全然「多様性」が認められてないんですけど!?という話です。
すべてにおいて多数派に属する人はいないと思うので、きっと誰もがある面ではマイノリティ。つまり誰もが「理解する側の人間」であり、「理解される側の人間」でもあるのに、誰にとっても生きていて楽しい社会ではないのはなぜだろう。劇中でも言及されていたように、社会の仕組みとして、多数派でいた方が生きていくのが圧倒的に楽。だから本当は違うけど多数派のフリをして生きていく人がたくさんいる。最近はマイノリティであることを隠さず生きる人も増えているけど、社会に受け入れてもらえるかは実際オープンにしてみないとわからない。受け入れてもらえなければ社会から排除され、独りぼっちになる可能性があり、そうなったら、きっと明日生きていたくないと思う。
桐生と佐々木が出会えたのはとんでもなく幸運なことで、きっと大半は諸橋のように一人で抱え込むしかない。しかし彼にも理解しようと声をかけてくれる人がいた。諸橋へ一生懸命語りかける神戸さん…!正直ガッキーより吾郎ちゃんより、インパクトあった。クッソ泣きました。「寄り添う」とは、こういうことです。
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