彦次郎

日本のいちばん長い日の彦次郎のレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
4.3
8月14日正午から翌正午までの大日本帝国最後の1日をドキュメンタリー的に描いた戦争映画の傑作。
モノクロな為か当時の戦争映画記録の様な趣でリアリティがあります。
戦争終結に向けて閣僚たちの熱き舌論と駆け引きの果てに顔の分からないカリスマ昭和天皇が玉音放送で締める構成には胸が熱くなりました。
前半も政治ドラマとしてかなり面白いのですがナレーションにある「ここからが長かった」とするクーデター編が1億総発狂時代の日本を体現するかの様なカオスさで更に面白かったです。前半の玉音放送のテープがマクガフィンとして後半の争奪戦に至る辺りはエンターテイメントとして秀逸。
撮影年月から察するに戦争体験者及び戦後の荒廃を知っている方々の作品の為か画面から感じる熱量が尋常ではありません。
日本の為と信じるが故のイキナリ斬首もキテますが終盤にアナウンサーに脂汗と共に拳銃を突きつける場面はチンパンジーにコロナワクチンを打ってもらうぐらいの恐怖感を与えてくれました。
三船敏郎を始め漢気溢れるというかほぼ男優しか出ていないのも印象的。
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